アレキサンドライト

化学式:Be(Al,Cr)2O4

太陽光下で撮影 電灯下で撮影
太陽光下で撮影したアレキサンドライト 電灯下で撮影したアレキサンドライト
Masvingo, Zimbabwe

 アレキサンドライトクリソベリルという鉱物の一種です。光によって色彩が変化することが知られています。上の写真をご覧ください。太陽光下では緑色を、電灯(水銀灯や蛍光灯ではなく、白熱電球)下では赤色を呈しています。アレキサンドライトの結晶には微量のクロムが混入しており、黄色い光が吸収されることによって、変色が生じます(詳しくはコラム参照)。また、紫外線も吸収するため、宇宙船の窓には合成された結晶が使用されています。
 アレキサンドライトは、1833年、ロシアのウラル地方で発見されました。掘り出された時は緑色をしていたのでエメラルドと思われましたが、電灯光の下で眺めると色彩が赤色に変化しました。発見者達はとても驚いたと伝わっています。名称は、発見日が皇帝アレクサンドル2世の18歳の誕生日であったことに因んでいます。
 アレキサンドライトはユニークな宝石であり、かつ、とても希少な宝石です。そのため、高値で取り引きされています。アメリカでは、6月の誕生石に選定されています。

コラム「アレキサンドライトの色が変わる理由」
 アレキサンドライトの結晶に吸収される光の特徴を下の図1に表しました。縦軸方向のグラフの長さは吸収されない光の程度に対応しており、吸収される割合が大きくなると棒グラフの長さは短くなります。黄色い光と紫色の光はほとんど結晶に吸収されてしまい、青い光も一部(紫に近い青色)が吸収されます。橙色と緑色の光は吸収せずに、黄色の光を選択的に吸収する特性が、変色の原因となっています。その理由を太陽光下と電灯光下に分けて、考えてみましょう。

           
           
           
           
           
図1 アレキサンドライトの光の吸収特性

 下の図2に、太陽光と電灯光について、光の色彩別に強度を表しました。太陽から出ている光で一番強度が強い光は黄色の光です。宇宙空間では太陽からの黄色い光が強いため、黄色い光をよく吸収するアレキサンドライトが宇宙船の窓に使用されています。これに対し、地表では、大気が存在するため、我々が目にする太陽光は青い色の光が多くなっています。空の青さが原因と考えてください。白熱電灯では、赤い光が多くなっています。
 次に、太陽光と電灯光がアレキサンドライトの結晶によって、どのように変化するかを図3にまとめてみました。太陽光の場合、黄色い光と紫色の光が吸収され、青い光も一部が吸収されるため、緑色の光の影響が一番強くなります。そのため、太陽光の下では、緑色を呈します。電灯光の場合も同様に光が吸収され、赤色の光の影響が一番強くなります。そのため、電灯光の下では、赤色を呈します。

   
         
             
                 
                     
太陽光(地表) 電灯光(白熱電球)
図2 太陽光と電灯光の光の色彩別強度

 
     
       
           
             
太陽光下の色 電灯光下の色
図3 太陽光下と電灯光下のアレキサンドライトの色の色彩別強度

アレキサンドライト (ジュエリー) ● アレキサンドライト (ジュエリー)

アレキサンドライト
アレキサンドライト (裸石) ● アレキサンドライト (原石)


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