針鉄鉱

化学式:FeOOH

針鉄鉱(針状の結晶)
Bou Tazoul, Morocco

虹の石 高師小僧
針鉄鉱(虹の石) 針鉄鉱(高師小僧)
Rio Tinto mine, Huelva, Spain 愛知県 豊橋市 高師原

 針鉄鉱(しんてっこう)は水酸化鉄からなる鉱物です。上側の標本のように、針状の結晶が存在することが名前の由来です。しかし、明瞭に針状に見える標本は希で、多くは塊状や土状の集合体で存在しています。鉄を含む鉱物、特に、黄鉄鉱、菱鉄鉱、磁鉄鉱が酸化されて生成する他、水中の生命活動でも形成されます。針鉄鉱の英名は geothite はドイツの文豪ゲーテ(Geothe)に因んでいます。ゲーテは鉱物にも強い興味を持っており、鉱物学会の会員でした。
 左下の標本は針状の針鉄鉱が集合して、厚い皮状になったものです。表面が薄い酸化膜で覆われており、薄層による光の干渉で七色に輝くことから虹の石と呼ばれています。右下の標本は豊橋市の高師原(たかしがはら)にある沼地で産する針鉄鉱です。地名と外形に因んで高師小僧と呼ばれています。沼地に生えている葦(あし)の根元に水酸化鉄が沈殿積層して出来上がりました。葦の茎に対応する中心部には細い穴が空いています。
 針鉄鉱と同じ化学組成を持つ鉱物には、鱗鉄鉱を含めて、合計で4種類知られています。区別するにはX線解析などが必要です。そのため、多くの標本で曖昧になっており、褐鉄鉱という仮名で呼ばれています。ここで紹介した標本にも、他の鉱物が混ざっているかもしれません。しかし、ほとんどのものが針鉄鉱であることが知られています。ここでも、針鉄鉱として紹介しました。

針鉄鉱(褐鉄鉱)入り鉱物標本50種セット


Copyright (C) 1996-2009 iStone. All Rights Reserved.|ホームサイトマップ