ジリン隕石

普通コンドライト
ジリン隕石
中国 吉林省

1976年落下、価格(1グラム):¥500

 ジリン隕石は、1976年3月8日に、中国吉林省に落下した。総落下重量は、4トンにも達する。発見されている石質隕石では最大である。最も大きい破片の重量は2トンもある。写真中の茶色の粒がコンドリュールである。普通コンドライトと呼ばれるグループに分類される。
 宇宙線の照射によって生成した成分の分析により、ジリン隕石の宇宙空間での破壊の歴史が解明されている。まず、約900万年前に、ジリン隕石の母天体が破壊された。そのとき、ジリン隕石になる岩石部分は、直径10m程度に破壊された小さい母天体内深さ1m付近に存在した。約850万年経過した後、小さい母天体が再度破壊され、約50万年間、宇宙を漂った後、地球に落下した。以上がジリン隕石の歴史である。

コラム「宇宙線照射年代」
 宇宙線とは、宇宙空間を光速に近い速度で飛んでいる原子核のことである。飛んでいる原子核の大部分は水素とヘリウムである。宇宙線は隕石に当たると、隕石を構成する原子を別の原子に変える。変えられた原子の量から、隕石が宇宙線に照射された時間を見積もることが可能になる。石質隕石ではよくネオンを、鉄隕石ではカリウムを分析する。この様にして得られた年代を宇宙線照射年代と呼ぶ。ただし、隕石内部でのエネルギーの損失のため、宇宙線は約1m程度の深さまでしか進行できない。つまり、宇宙線照射年代は、隕石がメートルサイズに破壊された後に宇宙空間を飛行した時間を表している。ジリン隕石の破壊の歴史は宇宙線照射年代の研究によって明かとなった。また、コンドライトの宇宙線照射年代の多くは1000万年以下で在るのに対して、鉄隕石の宇宙線照射年代は1億年以上である。1桁以上の違いは、何を意味しているのだろうか。おそらく、鉄隕石の方が破壊に強いので、大きさを維持する平均時間が長いためであろう。

ほんもの隕石観察セット ●隕石標本 ● 隕石標本2  ● 隕石標本3


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