マクル

スピネル双晶のダイヤモンド
マクル(ダイヤモンドのスピネル双晶)
Diamantina, Minas Gerais, Brazil

 マクルスピネル双晶を形成しているダイヤモンドの結晶です。おにぎりのような形をしているので、私は『おにぎりダイヤ』と呼んでいます。ひとつの結晶のように見えましが、実は2つのダイヤモンドの結晶がひとつの結晶面を共有しながら成長した双晶です。スピネルのように、正8面体(正三角形の側面を4つ持つピラミッドを、2個、底面で接合した形)の結晶形を造る鉱物が双晶を形成するときに、この様な形状がよく出現します。よって、スピネル双晶と呼ばれています。

コラム「スピネル双晶の成長」
 スピネル双晶がおにぎりの形になる理由を紹介しましょう。
 同じ大きさの正八面体を、面がピッタリ重なるように、接着した様子を思い浮かべてください。2個の正八面体の境界線は、正三角形の形をしています。また、境界線に接触している2つの外面が形成する角度(結晶の外側の角度)は、180度よりも小さくなっています。簡単にいうと、境界線辺りで、くびれており、凹んでいます。この凹みが結晶の成長に重大な影響を与えます。
 結晶が成長するとは、結晶の表面に、結晶を構成する原子(分子)を吸着させながら集めることです。ダイヤモンドの場合は炭素を集めることです。凹んだ角に近い領域では、他の領域に比べて、表面から受ける影響が強くなり、集まってくる原子(分子)は凹んだ角に優先的に吸着されます。そのため、凹んだ角の部分は、他の部分に比べて、はるかに急速に成長するようになります。このような凹んだ角が結晶の成長に与える影響のことを凹入角効果といいます。スピネル双晶の場合、凹んだ角が存在している部分が正三角形の形をしているために、成長した双晶はおにぎりの形になると考えられています。この様に、凹入角効果は結晶の外形を大きく変化させます。

ダイヤモンド等(原石)


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