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遊色効果(プレイ・オブ・カラー)

オパール
遊色効果を示すオパール 遊色効果を示すオパール2

 遊色効果(英名:プレイ・オブ・カラー)とは、オパールの向きを変えた時にオパールが色彩が変化する光学現象です。まず、上側の写真を見てください。メキシコ産のウォーター・オパール(透明なガラスのような部分)です。緑色の矢印が指している部分の色彩に注目してください。色彩は無色透明です。次に、オパールの向きを変えてみます。下の方を手前に引っ張る向きに変えたのが左下の写真です。透明であった部分が赤く光っています。次は、上の方を手前に引っ張る向きに変えてみます(右下の写真)。今度は緑に光っています。この様に、オパールの向きを変えると色の変化が生じます。まるで、色に遊ばれている様です。これに因んで、この現象は遊色効果(英語名はプレイ・オブ・カラー)と呼ばれています。遊色効果を示す鉱物はオパールだけです。しかし、他のイリデッセンスも遊色効果と呼ぶ人もいるので、注意してください。

コラム「遊色効果が生じる仕組み」
 オパールの遊色効果は光の回折によって生じています。遊色効果が生じる仕組みを紹介しましょう。
 まず、下のイラストを見てください。遊色効果を示すオパールを電子顕微鏡で10万倍程度に拡大すると、このような構造を見ることが出来ます。オパールは二酸化ケイ素と水で構成される鉱物です。イラスト内の水色の球体(実際は無色透明で、形状も多面体)は二酸化ケイ素と水が混ざり合ったものですが、二酸化ケイ素と水の混ざり方は不規則です。よって、オパールは結晶ではありません。しかし、二酸化ケイ素と水が混ざり合った球体は、イラストのように規則正しく層状に列んでいます。ここで、球体と球体の間に隙間(すきま)が存在することに注意してください。しかも、この隙間も規則正しく層状に列んでいることに注目してください。実は、オパールの内部で光が反射する場所は隙間であり、隙間はとても重要です。実際、隙間が無いオパールでは遊色効果は生じません。

オパールの構造
遊色効果を示すオパールの構造

 次に、隙間で反射された光によって、遊色効果が起こる仕組みを紹介しましょう。左下のイラストを見てください。矢印は光の経路です。隙間が列んでいる面(配列面)を赤い破線で表しています。配列面はお互いに平行に位置しており、配列面の間隔は一定です。もし、間隔が光の波長程度なら、薄層による光の干渉現象と同様に光の干渉現象が生じます。光の入射する角度が45°で赤く輝いたとすると、赤い光の波長は700ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)程度なので、隙間の間隔(球体の直径)は420ナノメートル程度であると見積もることが出来ます。

遊色効果(赤色) 遊色効果(緑色)

 次に、右上のイラストのように、オパールを回転させてみましょう。すると、別の配列面(緑色の破線で表示)を見ることが出来ます。この場合にも、光の干渉現象が生じます。しかし、隙間の配列面の間隔が左のイラストよりも短く(約0.7倍)なっていることに注意してください。そのため、波長が500ナノメートル程度の光、つまり、緑色の光が干渉を起こして、緑色に輝きます。
 この様に、オパール内部には、隙間が整然と列んだ配列面が複数存在し、その配列面の間隔が異なっているので、異なった波長の反射光が干渉します。これがオパールで遊色現象が生じる基本的な原因です。
 同様の現象が、鉱物などの結晶にX線を照射した時にも発生します(X線回折)。反射されたX線の角度や強度を分析することにより、鉱物の結晶構造を調べて、鉱物の種類を判定することが可能です。

オパール ●オパール
オパール (裸石) ● オパール (原石等) ● オパール (原石)


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