算盤玉石

化学式:SiO2(玉髄)、あるいは、SiO2・nH2O(オパール)

左:上面(下面)、右:側面

算盤玉石そろばん玉石

福島県 耶麻郡 西会津町 宝坂

 算盤玉石とは算盤(そろばん)の玉のような形の石です。玉髄(SiO2)で構成されているものと、オパール(SiO2・nH2O)で構成されているものが存在します。展示品はオパールです。オパールは時間が経つと水分が失われ、玉髄へと変化します。算盤玉石でも同様のことが起こるため、玉髄からなるものの方が多く産出します。この標本は国内の有名なオパールの産地である宝坂で採取されました。母岩が堅いため、取り出すのに苦労されたそうです。

コラム「算盤玉石のでき方」
 算盤玉石は流紋岩や安山岩の塊(ノジュール)の中で形成されます。どの様にして、算盤玉の形になったかのでしょう。イラストを用いて、仕組みを紹介しましょう。
 まず、左下の図1を見てください。この図はマグマの中の一部が固まり始めている状態を表しています。中心部の茶色の部分が固まり始めている部分です。この固まり始めた部分がマグマの流れよって回転をしていると、奇妙なことが生じます。遠心力の影響で、固まり始めた部分は円盤状に成長します。図2は円盤を側面方向(横)から見た図です。上方(あるいは下方)から見ると、円形になります。

図1:固まり始めたマグマ 図2:円盤状に固まり始めたマグマ

 マグマの中には水や二酸化炭素などの気体が溶け込んでいます。マグマが固まり始めると気体成分は溶け込むことができないようになり、左下の図3のようにアワが生じます。算盤玉石を含有する安山岩や流紋岩を生成するマグマはたいへん粘りが強く、アワは割れることなく大きくなります。この時、またしても、遠心力の影響で奇妙な現象が発生します。アワの部分には遠心力が働きませんが、アワでない部分(固まり始めている部分)には遠心力が働きます。そのため、回転軸(中心部)から離れた部分では固まり始めた部分が多くなります。その結果、アワの部分は回転軸方向へ押されてしまい、回転軸部分にアワが集約されて一番大きく膨れます。この様にして、図4のような形状の空間が出来上がります。3つのプロセス(円盤の生成、アワの発生、アワの集約)を別々に説明したが、実際は同時に進行していることに注意してください。

図3:アワの発生 図4:アワの集約

 やがて、マグマ全体も固まり始め、算盤玉の形状をした空間が完成します(左下の図5)。その後、その空間へシリカ成分に富んだ熱水(高温の地下水)が貯まって、固まります。この様にして、算盤玉石は誕生しました。

図5:算盤玉の形状の空間 図6:シリカ分に富んだ熱水の侵入

算盤(そろばん)


Copyright (C) 1996-2009 iStone. All Rights Reserved.|ホームサイトマップ