スタールビー

化学式:Al2O3

スタールビー
スタールビー
図1:ルチルの方向
 
Mysore, India 図2:線条の方向

 スタールビーとはスター効果(アステリズム)を示すルビーです。結晶内部にはシルクインクルージョン(密集した針状のルチルの結晶)が、互いに60度ないし120度の角度で交わる向きで含まれています。展示品は一面を研磨したスタールビーの原石です。図1で示した方向に、細かい筋が走っています。これがシルクインクルージョンです。この標本に上方からペンライトで光を照らすと、図2に示した3方向に、明るい光の筋が出現します。目では鮮明に見えるのですが、写真に撮ることは困難です。宝石店などで、現物のスタールビーを見てください。

コラム「低級ルビーを高級スタールビーへ変える加熱処理」
 ルビーの赤色は、結晶を構成するアルミニウムの一部がクロムに入れ替わることによって生じます。入れ替え可能な元素はクロムだけではなく、鉄やチタンも可能です。鉄が混ざると、暗い赤色になります。チタンが含まれると、ルビーの色彩は青みを帯び、赤紫色に変わります。最高級とされるルビーの色彩は鳩の血の様な赤色(ビジョンブラッド)です。よって、赤紫色のルビーは低く評価されます。そこで、色彩を変えるために、加熱処理が行われます。
 まず、チタンを含んでいるルビーを72時間ほど1000℃程度に加熱します。そして、ゆっくりと冷却します。すると、ルビーを構成しているチタンからルチル(酸化チタン)の結晶が生成し、ルビーの結晶からチタンが取り除かれます。この作業によって、ルビーの赤色は改善され、高級品に変わります。更に、チタンの量が十分に含まれていると、ルチルの結晶が多く生成します。そして、シルクインクルージョンが形成され、スタールビーになります。ちなみに、合成スタールビーも、チタンを混ぜたルビーを加熱処理して、製造されています。

スタールビー (裸石) ● スタールビー (リング)


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