カーボナタイト

ナトロカーボナタイト

レンガイ火山

ナトロカーボナタイト

レンガイ火山

Oldoinyo Lengai, Tanzania

タンザニア

 カーボナタイトは炭酸塩鉱物を主要構成鉱物とするマントル起源の火成岩である。成分は似ていても石灰石のような堆積岩ではない。初めは石灰岩が変成あるいは溶融して生成したとする考えられていた。しかし、化学的な分析により、カーボナタイトと石灰岩では炭素と酸素の成分が異なっていることが判明した。カーボナタイト・マグマがマントルの溶融で生成することも実験的に示された。さらに、1960年にタンザニアのレンガイ火山(右の写真。友人のケラー氏撮影。)でカーボナタイト・マグマが噴出するのが観測された。このようにして、カーボナタイトは火成岩であると断定されたのである。
 カーボナタイトは27億年前から形成されており、大陸が分裂する際に多く出現している。カーボナタイト・マグマの生成領域は地下70kmよりも深い場所である。ストロンチウムとネオジムと鉛の成分が海洋島玄武岩に似ているので、下部マントル物質から生成されたと考えられる。分布地域と化学成分がキンバーライトと類似している点もあることから、成因的に関係があるのであろう。
 写真のカーボナタイトはレンガイ火山の火口で採取されたものである。ナトリウムとカリウムの炭酸塩鉱物(nyerereiteとgregoryite)を主要鉱物としており、ナトロカーボナタイトと呼ばれている。他には、カルシウムやマグネシウムや鉄で構成された炭酸塩鉱物を主要鉱物とするカーボナタイトが存在するが、これらのほうが一般的である。

コラム「奇妙なカーボナタイト・マグマ」
 マグマと聞いて思いつくイメージは、ドロドロした赤く光る液体であろう。ところが、カーボナタイト・マグマの様子は水のようにサラサラとしたマグマである。温度は約500度程度しかない。物質は700度以上になると赤くなってくるので、このような低温では赤く光ることはない。カーボナタイト・マグマは真っ黒である。つまり、カーボナタイト・マグマは熱せられた墨汁のようなマグマなのである。


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