辰砂(しんしゃ)は赤色顔料や水銀(Hg)の鉱石に利用されている硫化鉱物です。不透明な赤褐色の塊状(左上)、あるいは、透明感のある深紅色の菱面体結晶(右上。白色部は苦灰石。)で産出します。左上の標本はスペインの
Almanden 鉱山で採取されました。この鉱山では紀元前5世紀より採掘が行われており、世界で最古の鉱山の1つと言われています。銀色に光っている粒は辰砂から遊離した自然水銀です。中国でも紀元前2世紀には水銀を利用したという記録が残っています。中国の辰州(現在の湖南省辺り)で産出したことから、辰砂と呼ばれるようになりました。色彩より朱砂とも呼ばれていました。英名はサンスクリット語の「赤い樹脂」を意味する言葉に由来すると考えられています。 |