キュービック・ダイヤモンド

キュービック・ダイヤモンド
M'Buji-Mayi, Kasai, Congo

 ダイヤモンドには時々不純物が含まれている。ダイヤモンドが形成されるのは地下180kmより深い所であるので、不純物はマントルに存在した物質である。また、ダイヤモンドは物理的にも化学的にも丈夫な物質であるので、不純物には正確なマントルの情報が含まれている。これらの理由によりダイヤモンド中の不純物はよく研究されている。ただ、形成された場所については諸説ある。大陸直下の上部マントルという説のほか、下部マントルという説やコアという説もある。
 上の写真はサイコロの形(正6面体)をしたキュービック・ダイヤモンドである。キュービック・ダイヤモンドの中心部には正8面体のダイヤモンドが含まれており、これを取り囲むようにダイヤモンドの結晶が成長してサイコロの形を成している。外装部には不純物が多く含まれている。不純物は含水ケイ酸塩鉱物と炭酸塩鉱物とリン酸塩鉱物の混合物であり、高濃度のカリウム(20%以上)を含んでいる。ダイヤモンドがマントルに存在していた時は、この混合物は流体であったと考えられる。カリウムや揮発性成分に富んだ流体がマントル内に存在しているのかもしれない。また、キュービック・ダイヤモンドに含まれている希ガスは大気中の希ガスではなく、地球誕生時からマントル内に存在していたものであると判明している。不純物を構成する元素は地球誕生時からマントル内に存在していたものであると考えられている。

コラム「その他のダイヤモンド中の不純物」
 ダイヤモンドに含まれる代表的な不純物としては、カンラン石とざくろ石と輝石が発見されている。これらの鉱物は上部マントルを構成する主要な鉱物であり、ダイヤモンドが上部マントル内で形成された際に取り込まれたのであろう。また、マグネシオウスタイト{(Mg,Fe)O}という下部マントルに存在すると考えられている鉱物を含んだダイヤモンドも発見されている。このダイヤモンドは下部マントルで形成されたのであろう。さらに、地殻で形成された十字石という鉱物を含んだダイヤモンドも存在している。マントル内に沈み込んだ地殻物質が形成に関与したダイヤモンドも存在すると考えられる。固体の二酸化炭素を含んだダイヤモンドまで報告されている。

ダイヤモンド等(原石)


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