左上の標本は複数の透明な板状の水晶が接合しています。個々の水晶の中央部には糸のような白い部分が存在しているので、ファーデン水晶(ファーデンとは糸を意味するドイツ語です)と呼ばれています。右の標本を観ると、白い糸状の部分の存在が良く分かります。糸の部分を構成する鉱物は他の部分と同じ石英ですが、細かい気泡が多数存在しているために白く濁っています。
ファーデン水晶の形成過程は、次のように考えられています。まず、既存の透明な板状の水晶に地殻変動で割れ目ができます。その後、珪酸分に富んだ熱水がやって来て、水晶の割れ目に石英を晶出させて、白い糸の部分が形成しました。この段階で成長が終了したのが右側の標本です。その後、修復された水晶を核として水晶が再成長しながら、別の修復された水晶と結合して、左側の標本のような複雑な形態は形成されたと考えられています。 |