石膏

化学式:CaSO4・2H2O

透石膏 雪花石膏
透石膏 雪花石膏
Willow Creek (near Nanton),
Alberta, Canada
石川県珠洲市能登鉱山

繊維石膏
繊維石膏
Morocco

グリーン石膏 砂漠のバラ
グリーン石膏 砂漠のバラ
Poland Chihuahua, Mexico

石膏ボール
石膏ボール
Red River Floodway, Winnipeg, Manitoba, Canada

 石膏(せっこう)は最もふつうに産出する硫酸塩鉱物で、水の分子(H2O)を含んでいます。石膏は、主に、海底の沈殿物が化学変化を起こして、生成しました。沈殿物の層が地殻変動で地表に出現し、一度、乾燥したもの{硬石膏(CaSO4)}が、再度、雨や地下水と反応して、石膏は誕生します。主な用途は、建材(石膏ボード)、彫刻の素材、骨折の治療に用いるギプスなどです。ちなみに、ギプスはドイツ語 Gips (石膏の意)に由来します。
 石膏には外観によって特別な名称で呼ばれるものが存在します。透明度が高い柱状の結晶をなすものは透石膏、あるいは、セレナイトと呼ばれています。細かい結晶が集合して、塊を形成しているものは、雪花石膏(せっかせっこう)、あるいは、アラバスターと呼ばれています。繊維状の結晶が一定方向に配列したものも存在し、繊維石膏と呼ばれています。
 石膏にはユニークな形をなすものが多く、楽しい鉱物です。3つの標本を追加展示しました。グリーン石膏は芝生に似ています。砂漠のバラの多くが、石膏で構成されています。石膏ボールは石膏の結晶が球状に集まったものです。羽のような部分と中心部は別の鉱物に見えますが、どちらも、石膏からなっています。中心部分は単結晶ですが、羽の部分は双晶です。

コラム「石膏が水で固まる仕組み」
 下表の石膏の化学式を見てください。2つの水の分子が含まれています。石膏を80℃程度に加熱すると、水の分子の一部が離れていきます。最終的に、75%の水分子が失われ、別の物質に変わります。その物質は、石膏を加熱する(燃やす)ことによって得られるので、焼石膏と呼ばれています。焼石膏の結晶は水の分子の一部を失っているため、構造が不安定となり、砕けて白い粉末になります。一般に石膏と呼ばれている粉末の正体は焼石膏です。焼石膏に水を混ぜると、水の分子が素早く取り込まれて、石膏へ変化し、塊となります。これが、石膏が水で固まる仕組みです。
 ところで、石膏をもっと高温で加熱すると、どうなるのかを紹介しておきましょう。水の分子は完全に失われて、硬石膏へ変化します。硬石膏も、水を加えれば石膏に戻りますが、反応が遅く、彫刻や治療に使えません。

名前   化学式
石膏 CaSO4・2H2O
焼石膏 CaSO4・(1/2)H2O
硬石膏 CaSO4

おまけコラム「巨大な石膏の結晶」
 2000年、世界最大の石膏の結晶がメキシコで発見されました。映画のワンシーンのような写真が、下記のHPに記載されています。必見ですよ。

巨大な石膏の結晶

石膏(国産原石標本)


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