この透明な水晶には閉ざされた空間(赤い矢印の先)が存在しています。右側の拡大写真を、この空間の形に注意しながら、観てください。水晶の形をしていることが分かります。この様な状態を鉱物学では負晶(Negative Crystal)といいます。よって、この様な標本は、負晶入り水晶、あるいは、ネガティブ水晶(ネガティブは負の意)と呼ばれています。
この水晶には液体の包有物も含まれています。この部分の形は不定形です。液体による抵抗が、水晶の成長を妨害した結果です。これに対して、負晶の空間には気体(二酸化炭素など)のみが含まれているので、水晶は抵抗を受けずに本来の形に成長することができます。よって、規則的な空間が造られると期待できます。しかし、なぜ、水晶の形の空間が形成されるのでしょうか。結晶には不規則を嫌う性質があり、負晶を誕生させるのでしょうか。負晶は結晶の面白さを改めて感じさせてくれます。 |