十字石は2つの結晶が交わり合った双晶が形成されやすい性質の鉱物である。また、十字石は風化に強い鉱物である。そのため、十字架の形で発見されることが多く、名前も形に由来している。ひとつの結晶での形は、右上の標本のような形である。さらに、十字石の双晶には、直角に交わったものと60度で交わったものが存在する。
直交型双晶の形は、まさに十字架。中世の欧州のキリスト教徒達は驚いたであろう(私の友人のキリスト教信者も驚いていた)。キリストの心が宿る石として大切にされていたかもしれない。実際、十字軍の兵士がお守りにしていたという話がある。斜交型双晶の形は、英語のアルファベットのX(エックス)、斜交型3連晶の形は、ロシア語のアルファベットのЖ(ジェイ)の形をしている。斜交型3連晶は珍しい標本である。ふたつの斜交型双晶がひとつの結晶を共有するような構造をしている。 |