この標本は緑色の針状結晶が放射状に集まった銀星石です。緑色なのに銀。奇妙な鉱物名ですが、歴史的な事情が原因です。日本で初めて銀星石が紹介された頃、ボヘミア産の無色透明の標本が広く出回っていました。そのため、当時の日本の鉱物学者は色彩と形状より銀星石と名付けました。なお、英語名のWavelliteは発見者の名前に因んでいます。
銀星石の色は、無色と緑色の他、青色や黄色など多彩に変化します。よって、鉱物名に色を用いるのは不適切です。しかし、名前が広まってしまうと変更するのが困難なため、そのまま使われています。 |