蛍光とは、鉱物に電磁波(可視光線、紫外線、x線など)や放射線(α線、β線など)を照射している間、鉱物から光が発せられる現象です。機器で分析すれば、全ての鉱物が蛍光を発するとも言えます。鉱物の愛好家の間で話題となるのは、ミネラライト(紫外線照射器)で照らすことによって鉱物から可視光線(人間の目で見ることが出来る光)として発せられる蛍光です。このサイトでも、この様な蛍光について、紹介します。
鉱物によっては、蛍光の色彩から種類を決めることも可能です。ここで紹介した珪亜鉛鉱(緑色の蛍光)の他に、蛍光を発する鉱物として、蛍石(青色)、灰重石(青白色)、燐灰ウラン石(黄緑色)、含マンガン方解石(赤〜ピンク色)が良く知られています。これらの鉱物のうち、必ず蛍光を発するのは燐灰ウラン石だけです。ほとんど蛍光を発しない灰重石も存在します。蛍光性の蛍石は小数です。マンガンの含有量が多すぎる方解石は光りません。珪亜鉛鉱も、微量のマンガンを含んでいる結晶のみが蛍光を発します。
最後に、蛍光が生まれる仕組みを簡単に紹介しておきましょう。蛍光を出す鉱物の結晶には、適量の不純物や結晶の欠陥が存在しています。その様な結晶に紫外線が照らされると、結晶中の電子にエネルギーが与えられ、一時的に、電子のエネルギーレベルが高くなり、直ぐに、低い状態(最初の状態)に戻ります。そして、その戻る時に、光が発生する(電子のエネルギーが光エネルギーに代わる)のですが、蛍光性の鉱物の場合、電子は高いエネルギーレベルからダイレクトに最初の状態に戻るのではなく、少し、道草をします。高いエネルギーレベルから少しレベルの低いエネルギーレベルになり、さらにエネルギーレベルを下げて、最初の状態に戻ります。その際、光が発生するのは、2回目にエネルギーレベルが下がる時(中間から最初の状態になる時)のみです。1回目にエネルギーレベルが下がる時(高いエネルギーレベルから中間へ下がる時)には、光は発生せず、結晶の微弱な振動エネルギーが発生します。つまり、光を発生させるためのエネルギーが少なくなっています。ここが重要です。もし、道草をしなければ、照射された紫外線と同じエネルギーを持つ蛍光が発生します。つまり、紫外線が発生します。よって、目で見ることが出来ません。しかし、道草をすると、光を発生させるためのエネルギーが下がります。つまり、紫外線よりも低いエネルギーを持つ可視光線が発生します(注意:紫外線は可視光線よりもエネルギーが高くなっています。日焼けをするのは、そのためです)。 |