バリンジャーが穴を掘り続けていた頃(20世紀初め)、多くの地質学者は巨大隕石の衝突によるクレーター形成説に反対だった。もし隕石が斜めに地面に衝突すれば、形成されるクレーターの形は、だ円になるはずなのに、クレーターは円形である。これが隕石衝突説の問題点だと主張した。しかし、実際は、だ円になるはずという思いこみが間違っていた。隕石の衝突を模擬実験で再現してみると、衝突角度に関わらず、形成されるクレーターの形は円形になることが判明した。原因は、衝突地点から発生する衝撃波が、クレーターの形成に関わっているためである。また、衝突の瞬間、隕石の持っていた運動エネルギーが熱エネルギーに代わって、隕石本体は蒸発して爆発してしまうため、地面をだ円形に削ることはないのである。 |