エスケル隕石

パラサイト
エスケル隕石
Esquel, Chubut, Argentine

1951年発見、価格(1グラム):¥3000

 水道タンクを作るために穴を掘った際に、発見された。石質部が金属に含まれる構造をしている石鉄隕石で、隕石の細かい分類では、パラサイトと呼ばれている。石質部は、オリビン(ペリドット)で、金属部は鉄ニッケル合金である。写真のように研磨するとオリーブ色とメタルカラーの美しいコントラストをもつため、装飾品としても人気がある。
 オリビンの結晶の形が本来持つ形をしているので、マグマの中でオリビンは結晶したことを示している。また、オリビンの比重(約3.3)と鉄ニッケル合金の比重(約8)には大きな差があり、重力のかかる地球の石には両者が混在する構造は見られない。よって、小規模な天体(小惑星)が加熱溶融されて、パラサイトは形成されたと考えられる。ちなみに、鉄ニッケル合金部のウィドマンシュテッテン構造の分析から、パラサイトを形成した小天体の直径は600km程度(地球の約22分の1)と見積もられている。

コラム「石が天から降ってくる」
 宇宙から地球に隕石が落下し来るという事実が一般に認められたのは約200年前にすぎない。1809年、エール大学の2人の教授が米国コネチカット州に落下した隕石について報告したときも、科学者でもあったジェファーソン大統領は、「石が天から降ってくると考えるよりも、2人のヤンキー教授が嘘をついていると考えた方が合理的である。」とコメントしている。1794年、ドイツの物理学者がクラスノヤスカ隕石(ロシアの探検家パラスがサンテペテロブルクに持ち帰ったパラサイト)を地球外物質と結論づけたが、当然当時の人々には受け入れられなかった。ちなみに、パラサイトの語源は、探検家パラスにちなんだものである。

エスケル隕石等


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