ギベオン隕石

オクタヘドライト (「A)
ギベオン隕石
Gibeon, Namibia

1836年発見、価格(1グラム):¥50

 ギベオン隕石はアフリカのナミビアのギベオンで発見された。写真はギベオン隕石をスライスの後、切断面を研磨して酸処理したもの。黒い部分は硫化鉄。金属部は鉄ニッケル合金で、網目状の模様はウィドマンシュテッテン構造と呼ばれている。この模様が形成された原因は、以下のような鉄ニッケル合金の特性である。
 一様にニッケルが分布する鉄ニッケル合金を加熱融解後、極めてゆっくり冷却した場合、900℃でニッケルの少ない部分とニッケルの多い部分に分かれ始める。この分離過程は350℃ぐらいまで続く。ニッケルの少ない部分は、多い部分に比べて酸に溶けやすい。よって、酸処理を行うと、溶け具合の差が模様となって現れる。このようにして、ウィドマンシュテッテン構造は形成される。また、冷却の速さが遅いほど、分離過程は進行する。逆に言えば、分離程度(ウィドマンシュテッテン構造)から、冷却に要した時間が見積もることができる。それによると、鉄隕石に観られるウィドマンシュテッテン構造を形成するには、100万年以上要することが分かる。合成することは不可能である。

コラム「隕石の見分け方」
 隕石の多くは地球の石とは異なる構造を持っており、ある程度、鑑定が可能である。鉄隕石の場合、ウィドマンシュテッテン構造の存在を確かめればよい。ニッケルが含有されていることを確かめてもよい。しかし、いずれも化学薬品を使用するので、一般の人には薦められない。石鉄隕石の場合、スライスしてみれば、容易に確認できる(エスケル隕石参照)。コンドライトの場合、丸い粒(コンドリュールや金属球)が含まれている(マーチソン隕石参照)。表面が黒く焼け焦がれている場合もある(アレンデ隕石参照)。また、鉄の含有量が地球の石に比べて多く、磁石に反応する。ただ、エイコンドライト場合、構造や構成鉱物が地球の石と似ているため、判定には専門的な分析が必要になる。ちなみに、一般の人が隕石の判定をしてもらう場合、東京・上野の国立科学博物館が適当であろう。

ギベオン隕石 (ジュエリー) ●ギベオン隕石 ● ギベオン隕石2


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