ギベオン隕石はアフリカのナミビアのギベオンで発見された。写真はギベオン隕石をスライスの後、切断面を研磨して酸処理したもの。黒い部分は硫化鉄。金属部は鉄ニッケル合金で、網目状の模様はウィドマンシュテッテン構造と呼ばれている。この模様が形成された原因は、以下のような鉄ニッケル合金の特性である。
一様にニッケルが分布する鉄ニッケル合金を加熱融解後、極めてゆっくり冷却した場合、900℃でニッケルの少ない部分とニッケルの多い部分に分かれ始める。この分離過程は350℃ぐらいまで続く。ニッケルの少ない部分は、多い部分に比べて酸に溶けやすい。よって、酸処理を行うと、溶け具合の差が模様となって現れる。このようにして、ウィドマンシュテッテン構造は形成される。また、冷却の速さが遅いほど、分離過程は進行する。逆に言えば、分離程度(ウィドマンシュテッテン構造)から、冷却に要した時間が見積もることができる。それによると、鉄隕石に観られるウィドマンシュテッテン構造を形成するには、100万年以上要することが分かる。合成することは不可能である。 |