天然の真珠は、貝が偶然、砂などを取り込むことによって誕生したもので、希少性の高いものです。そのため、真珠の養殖方法が開発される前、真珠は高価な宝石でした。ローマのジュリアス・シーザーは、一粒の真珠を¥4,000万(現在の貨幣価値に換算)で入手したと伝えられています。世界で最初に真珠を養殖するようになったのは、中国人です。13世紀頃から、鉛で造った小さい仏像を貝の中に入れ、仏像真珠と呼ばれる神具が造られています。西洋では、1761年、スウェーデンの生物学者リンネが、真珠の養殖に成功したそうですが、その方法は公開されていません。本格的な真珠の養殖方法を開発した日本人です。我が国では、アコヤガイに天然の真珠が多く存在することが知られていたので、アコヤガイに注目して、研究が進められました。1893年、核となる物質を貝の体内へ入れ込むことによって、御木本幸吉が養殖の真珠を造り出すことに成功しました。しかし、その時は、半球型の真珠でした。それから、12年後、核と一緒に、貝の外部の細胞の一部を入れ込むことによって、球形の真珠を養殖する方法が、見瀬辰平と西川籐吉によって発見されました。この発見を切っ掛けに、我が国の養殖真珠産業は発展し、日本は代表的な真珠の生産国になりました。 |