シホテアリン隕石

オクタヘドライト(B)

 落下の様子を描いた切手

シホテアリン隕石

隕石の落下
Sikhote Alin, Maritime Territory, Russia 煙は5時間以上存続した

1947年落下、価格(1グラム):¥150

 1947年2月12日、午前10時30分頃、ロシアのウラジオストック北部、シホテアリンに、多数の鉄隕石(総回収量は約70トン)が落下しました。そのうちの1つがこの標本です。表面に指で押したようなへこみレグマグリプツといいます)が存在しています。隕石が落下する際に、隕石の表面で渦状の空気の流れが発生し、その部分が優先的に摩擦熱で溶融されることによって形成されました。レグマグリプツは隕石の表面上の特徴のひとつです。
 シホテアリン隕石は、眼が痛くなるほどの強烈な光を放ちながら落下し、落雷のような爆音が響いたそうです。そして、上空には巨大な煙が発生し、5時間以上も消えませんでした。その様子を描いた切手がロシアで発行されています。煙の正体は大気との摩擦熱で蒸発した隕石物質の細かい粒子であったと考えられています。
 また、シホテアリン隕石は大気の上方で、多数の個体に分裂し、広範囲に落下しました。落下地域は約2平方キロメートルに広がっています。最大の破片の重量は1750Kgでした。約120個ものクレーター(最大のものは直径26m、深さ6m)が形成されました。映画「アルマゲドン」のワンシーンのようですが、実際に起こった自然現象です。幸い、この時は犠牲者は出ませんでした。このように分裂した多数の隕石が落下する現象を隕石シャワーといいます。
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コラム「人に当たった隕石」
 空から落ちてきた石が人に当たったという記録は古く(例えば、中国では14世紀初頭、イタリアでは16世紀初頭)から存在しています。しかし、隕石の存在すら知られていなかったころの話であり、ただの投石だったかもしれません。
 人に当たったことが確認されている隕石として、アメリカ・アラバマ州に落下したシラコーガ隕石が有名です。1954年11月30日午後1時頃、昼食後ソファーでくつろいでいたホッジス婦人の太ももに隕石が当たりました。重量は1.7 Kg でした。2階の屋根と1階の天井を突き抜けて落下してきたため、落下の早さが落ち、軽傷で済みました。
 我が国でも、1927年4月28日午前9時頃、茨城県稲敷郡阿波(現在は稲敷郡桜村阿波)で少女に当たったという記録があります。幸い、隕石が軽かった(0.19 g)ので、命に別状はなかったそうです。当時、新聞で大きく報道され、世界的に有名になりました。しかしながら、隕石が行方不明になってしまい、真相を確かめることは困難です。
 犬にあった隕石も知られています。1911年6月28日午前9時頃、エジプトへ落下したナクラ隕石です。ナクラ隕石は学術的価値がたいへん高い隕石です。火星から飛来した隕石で、最近の研究では、生命活動の痕跡らしきものが存在するという報告もあります。
 確かな記録が確認できる範囲の話ですが、長年、隕石の落下による犠牲者は出ていません。

シホテアリン隕石


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