鉱物の靱性

 靱性(じんせい)とは割れにくさを表す指標です。靱性が高いとは割れにくいことを意味します。摩擦や引っかきに対する強さを表す硬度とは別の特性です。注意してください。硬度が高くても、割れにくいとは限りません。例えば、ダイヤモンドは最高の硬度の鉱物ですが、ハンマーで叩くと容易に割れてしまいます。ダイヤモンドの靱性は水晶と同程度しかないのです。
 最も靱性が高い鉱物は、ダイヤモンドの変種であるカルボナードです。カルボナードの靱性の数値を10とした場合、他の鉱物の数値は下表のようになります。比較のために、モース硬度計による硬度の数値も掲載しました。靱性の高さが一致していないことが分かります。ヒスイ(翡翠)は割れにくい宝石として有名ですが、靱性の数値はダイヤモンドやコランダムルビーサファイアなど)よりも高くなっています。原因はヒスイが微細な結晶の繊維状に集合した内部構造を持っているからです。カルボナードも微細な結晶が集合して形成されたため、靱性が高くなっています。アクアマリンとエメラルドはどちらもベリルという同じ鉱物です。硬度は同じですが、靱性は異なっており、エメラルドが小さくなっています。エメラルドはヒビが入りやすいので注意が必要であると良く聞きますが、アクアマリンに関しては聞きません。靱性の高さの違いが原因です。

鉱物名 靱性の数値 モース硬度
  カルボナード 10 10
  ヒスイ(翡翠) 8 7
  コランダム 8 8
  ダイヤモンド 7.5 10
  石英 7.5 7
  アクアマリン 7.5 7.5
  カンラン石 6 7
  エメラルド 5.5 7.5
  トパーズ 5 8
  ムーンストーン 5 6
  リン灰石 3.5 5


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