石墨(グラファイト)

化学式:C

石墨(グラファイト)
Canada

 石墨(英名:グラファイト)は炭素からなる黒色の鉱物で、鉛筆の芯の原料です。硬度は滑石(最も軟らかい鉱物)より少し硬い程度しかなく、容易に壁などに文字を書くことができます。グラファイトはギリシャ語のgraphein(書くの意)に由来した名称です。
 石墨の元素組成はダイヤモンドと同じ、どちらも1種類の元素のみで構成されています。この様な物質は、まとめて、同素体と呼ばれています。石墨とダイヤモンドは炭素の同素体ですが、両者の特性は極端に異なっています。石墨は軟らかい鉱物ですが、ダイヤモンドは最も硬い鉱物です。石墨はよく電気を通しますが、ダイヤモンドは電気を通しません。この様な違いは、結晶構造の違いが原因になっています。

コラム「炭素の同素体」
 炭素の同素体には有益で将来性のある物質が複数知られています。石墨とダイヤモンド以外の同素体を紹介しましょう。
 まず、結晶構造を持たない同素体が存在し、無定形炭素と呼ばれています。ススや木炭の他、臭いを取る活性炭も無定形炭素です。ゴルフのクラブやテニスのラケットなどのスポーツ用品や、航空機や船舶の本体で使用されている炭素繊維(カーボン繊維)も、無定形炭素です。
 60個の炭素原子がサッカーボールのような球形構造をなしているものが、フラーレンです。1985年、英国のクロートと、米国のスモーリーとカールは、石墨にレーザー光をあてることによって、フラーレンを発見しました。1996年、彼等にはノーベル化学賞が授与されました。
 6個の炭素原子からなる6角形が網の目状に並び、円筒状の構造をなしているものが、カーボンナノチューブです。1991年、日本の飯島は、炭素棒に放電する方法でフラーレンの合成を研究しているときに、カーボンナノチューブを発見しました。放電による方法ではプラス極に大量のフラーレンが生成するため、ほとんどの研究者はプラス極にのみ注目していました。飯島はマイナス極で生成したものに注目し、フラーレンとは異なるもの、つまり、カーボンナノチューブを発見しました。ここ数年、カーボンナノチューブの研究はノーベル化学賞の候補に挙がっています。今年こそは・・・。

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