硬玉と軟玉の違い

 ヒスイ(翡翠)には硬玉(ジェダイト)軟玉(ネフライト)の2種類が存在します。両者の違いを下表に掲載しました。ご覧ください。

硬玉と軟玉の比較
和名 硬玉(別名:本ヒスイ) 軟玉
洋名 ジェダイト(Jadeite) ネフライト(Nephrite)
標本
新潟県 糸魚川市

Nelspruit, South Africa
主要構成鉱物 ヒスイ輝石
(輝石の一種)
透閃石ーアクチノ閃石
(角閃石の一種)
化学組成 NaAlSi2O6 Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2
硬度 6.5〜7 6〜6.5
比重 3.25〜3.35 2.9〜3.1
色彩 緑色が一般的だが、本来は白色。紫、青、赤、橙、黄、黒なども存在。 緑色から暗緑色。黒色もある。硬玉に比べて、色彩が劣る。
繊維状組織
87°で交わる

124°で交わる
産地 ミャンマー・カチン州、新潟県など限られた地域で産出。宝飾用は6地域のみ。 中国西域、台湾、カナダ、ニュージーランド、シベリアなど世界的に分布。
価格 高価 安価

 硬玉を構成する主要な鉱物はヒスイ輝石です。軟玉は角閃石で構成されています。名前の通り、硬玉の方が硬度が大きくなって(硬くなって)なっています。双方とも、緑色で半透明あるいは不透明の緻密な石であるため、同じ種類の石であると考えられていました。中国では古くからヒスイを玉と呼び、宝飾品に利用しています。西部のタリム盆地やクンルン山脈が原石の供給地です。中国国内で産出するヒスイは軟玉のみであり、硬玉が採れた記録も存在しません。18世紀、ミャンマー北部のカチン州で硬玉が発見され、硬玉の原石が中国に運ばれました。この様にして、2種類のヒスイが市場に流通するようになったのです。硬玉と軟玉の違いが科学的に示されたのは1863年です。フランスの鉱物学者ダモーラによって、硬玉を構成する輝石は新しい鉱物種として記載され、Jadeite (ヒスイ輝石)と命名されました。現在でも、両者の違いが曖昧な場合があるので、購入時には注意してください。光で透かしてみると、黒い繊維状の組織が上図のように走っています。黒い線が直角に近い角度で交わっていれば、その石は硬玉(本ヒスイ)です。角度が斜めになっていれば、軟玉です。

硬玉(裸石) ●硬玉(指輪) ●硬玉(原石)

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