硬玉を構成する主要な鉱物はヒスイ輝石です。軟玉は角閃石で構成されています。名前の通り、硬玉の方が硬度が大きくなって(硬くなって)なっています。双方とも、緑色で半透明あるいは不透明の緻密な石であるため、同じ種類の石であると考えられていました。中国では古くからヒスイを玉と呼び、宝飾品に利用しています。西部のタリム盆地やクンルン山脈が原石の供給地です。中国国内で産出するヒスイは軟玉のみであり、硬玉が採れた記録も存在しません。18世紀、ミャンマー北部のカチン州で硬玉が発見され、硬玉の原石が中国に運ばれました。この様にして、2種類のヒスイが市場に流通するようになったのです。硬玉と軟玉の違いが科学的に示されたのは1863年です。フランスの鉱物学者ダモーラによって、硬玉を構成する輝石は新しい鉱物種として記載され、Jadeite
(ヒスイ輝石)と命名されました。現在でも、両者の違いが曖昧な場合があるので、購入時には注意してください。光で透かしてみると、黒い繊維状の組織が上図のように走っています。黒い線が直角に近い角度で交わっていれば、その石は硬玉(本ヒスイ)です。角度が斜めになっていれば、軟玉です。 |