サンゴ(珊瑚)は、紀元前より地中海地方で装飾品として使用されていました。正倉院には、シルクロードを通って日本へ運ばれたサンゴの玉を使った冠などが納められています。国内でのサンゴの採取は、江戸時代の末期に、土佐沖で始められました。宝石となるサンゴは本サンゴ、貴重サンゴとも呼ばれています。地中海で採れたベニサンゴ、日本近海などで採れるモモイロサンゴ、赤サンゴ、白サンゴなどが重宝されています。サンゴは3月の誕生石の1つに選定されていますが、これは日本独自です。
サンゴはサンゴ虫(あるいはサンゴ)と呼ばれている生物が造ります。サンゴ虫は腔腸動物の一種で、イソギンチャクやクラゲの仲間です。宝石になるサンゴを作ったのは、サンゴ虫の中でも8本の触手を持っている八放サンゴです。八放サンゴはプランクトンを食べて内部に骨格を作りながら増殖し、樹枝状の集合体を形成します。この集合体は海底(水深100〜400m)の岩に根を下ろしたような形で生息します。そして、八放サンゴが死ぬと外部の組織が腐敗して、骨格だけが残ります。残った骨格が本サンゴです。骨格は炭酸カルシウム(方解石)を主成分としていますが、炭酸マグネシウムが混ざっています。 |