自然硫黄は硫黄で構成された元素鉱物です。ときに、少量のセレンやテルルが含まれています。色彩には多少変化があり、明るい黄色のものから黄褐色のもの(右上)まで存在します。自然硫黄は、かつて、硫黄の資源として採掘されていました。日本からは輸出もされていました。現在では石油の生成時に副産物として生じたものが使われています。
自然硫黄の代表的な産出場所は、火山の噴火口です。火山ガスに高濃度の硫黄が含まれていると、噴火口の近くで硫黄が結晶となります。左上の標本は栃木県の茶臼山の火口で採れたものです。
中段に展示している標本は大きく成長した自然硫黄の結晶で、イタリアのシシリア島で採取されたものです。この産出地では、自然硫黄は方解石や石膏などの隙間の中に存在しています。石膏(CaSO4・2H2O)などの硫化鉱物が変成して、硫黄分が分離し、自然硫黄が生成したと考えられています。生成する反応がゆっくり進んだことにより、結晶が大きく成長することが出来ました。宝石に利用したくなるような鮮やかな黄色ですが、硬度は2程度しかなく、宝石には使えません。
下段は温泉の底から硫黄に富んだガスが噴出して、風船状に固まった風船硫黄です。 |