1993年3月、オーストラリアのマイルズ(Miles)の農場で発見された。発見されたのは、ひとつの塊だけだった。その重さは約260Kgあった。マイルズ隕石は鉄隕石であるが、写真のように珪酸塩鉱物(主に輝石や斜長石)を含有物(インクルージョン)として含んでいる。この点が、カンラン石だけを含んでいる石鉄隕石のパラサイトとは異なっている。珪酸塩鉱物が含まれる割合も、パラサイトに比べると小さい。ミレス隕石は、構造ではオクタヘドライトと呼ばれるグループの、化学成分ではEと呼ばれるグループの鉄隕石に分類される。
また、珪酸塩鉱物の酸素同位体組成を分析したところ、Hコンドライトと一致することが判明した。隕鉄とコンドライトの酸素同位体組成が一致するのは、E隕鉄とHコンドライトの組み合わせのみである。この事実は、E隕鉄の起源がHコンドライトと関係していることを示している。Hコンドライトで構成された天体(母天体)の内部の火成活動でE隕鉄が形成したという説と、Hコンドライトの母天体とE隕鉄の母天体が衝突して、E隕鉄が形成したという説がある。後者の説の方が有力である。両タイプの隕石の宇宙線照射年代(ジリン隕石を参照)の分布のピーク(約800万年前)が一致する事実は、両タイプの隕石の破壊が同時に起こったことを、つまり、両タイプの隕石の母天体の衝突が起こったことを暗示しているからである。 |