この隕石は1997年9月6日、リビアのハムラー砂漠(アルジェリアとの国境付近にある。サハラ砂漠の一部。)で発見された。回収量は740g。ユレイライトというエコンドライトの一種である。
写真を観察すると、粒の大きい結晶で構成されていることが分かる。これらの結晶はカンラン石とピジョン輝石である。見かけは地球のマントルの岩石であるカンラン岩に似ているが、結晶の粒界を埋める部分には高濃度の炭素が存在することが異なっている。炭素の濃度は隕石全体でも2%に及び、ダイヤモンドやグラファイトなどの形態で存在している。粒界を埋める部分には鉄ニッケル合金や硫化鉄も存在している。また、ユレイライトには希ガスが多く含まれているのも特徴である。さらに、ユレイライトの酸素同位体比は他の隕石とは全く異なる組成の傾向を示しており、アエンデ隕石などに含まれている白色包有物と似ている。このように、ユレイライトは他の隕石と区別される特徴が多い隕石である。
ユレイライトの形成過程を考えるうえで大切なのは、カンラン岩に似た構造と炭素や希ガスに富んだ粒界を埋める部分の形成である。両者を同時に形成することは困難である。また、両者を混合させる様々な説が唱えられているが、全てのユレイライトの特徴を上手く説明できる説はまだ存在していない。さらに、ユレイライトに含まれているダイヤモンドの形成過程もよく話題となる問題で、天体内部説、衝突説、気相成長説がある。 |