Dar al Gani 319(ユレイライト)

ユレイライト
Dar al Gani 319 (ユレイライト)
Hammadah al Hamra, Libya

1997年発見、価格(1グラム):¥16000

 この隕石は1997年9月6日、リビアのハムラー砂漠(アルジェリアとの国境付近にある。サハラ砂漠の一部。)で発見された。回収量は740g。ユレイライトというエコンドライトの一種である。
 写真を観察すると、粒の大きい結晶で構成されていることが分かる。これらの結晶はカンラン石とピジョン輝石である。見かけは地球のマントルの岩石であるカンラン岩に似ているが、結晶の粒界を埋める部分には高濃度の炭素が存在することが異なっている。炭素の濃度は隕石全体でも2%に及び、ダイヤモンドやグラファイトなどの形態で存在している。粒界を埋める部分には鉄ニッケル合金や硫化鉄も存在している。また、ユレイライトには希ガスが多く含まれているのも特徴である。さらに、ユレイライトの酸素同位体比は他の隕石とは全く異なる組成の傾向を示しており、アエンデ隕石などに含まれている白色包有物と似ている。このように、ユレイライトは他の隕石と区別される特徴が多い隕石である。
 ユレイライトの形成過程を考えるうえで大切なのは、カンラン岩に似た構造と炭素や希ガスに富んだ粒界を埋める部分の形成である。両者を同時に形成することは困難である。また、両者を混合させる様々な説が唱えられているが、全てのユレイライトの特徴を上手く説明できる説はまだ存在していない。さらに、ユレイライトに含まれているダイヤモンドの形成過程もよく話題となる問題で、天体内部説、衝突説、気相成長説がある。

コラム「サハラ砂漠の隕石」
 1997年よりサハラ砂漠で多数の多種多様な隕石が発見されている。わずか3年で発見数は2000を超え、2kgもある火星隕石や1.4kgもある過去最大の月隕石も採集されている。ここで紹介したユレイライトも珍しい隕石で、回収量は火星隕石よりも少ない(南極隕石を除く全重量は、ユレイライトが20kg、火星隕石が70kgである)。アングロライトという南極隕石以外では1つしか知られていなかった種類の隕石も、サハラ砂漠で発見されている。この様にサハラ砂漠の隕石には珍しいものが含まれている。しかし、落下後に風化しているので研究には不向きである。
 サハラ砂漠で隕石の採集を行っているのは、フランスの隕石標本屋 Labenne Meteorites 社(家族経営の小会社)である。砂漠には草木が生えていないので隕石の発見が比較的容易である。しかし、これほど膨大な数の隕石は他の砂漠では見つからない。なにか秘密がありそうである。採集場所にも疑問がある。Labenne Meteorites 社のホームページを参照して、この隕石と月隕石(Dar al Gani 400)の発見場所をハムラー砂漠と紹介した。しかし、1998年の池袋ショーのパンフレットに記された月隕石(Dar al Gani 400)の発見場所の緯度と経度を参考にすると、発見場所はリビア中部に位置し、ハムラー砂漠から外れている。正確な場所を公表したくないのであろう。
 ところで、Labenne Meteorites 社のホームページでは、採集した隕石を販売している。採集数の多い普通コンドライトは、なんと1グラムあたり約¥55である。大きい石質隕石の標本を安価で入手したい人は利用されたらよいであろう。また、今年の新宿ショーと昨年の池袋ショウに出店していたので、日本で購入するのも可能であろう。

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