蛍光ダイヤモンド

ダイヤモンド概論 ダイヤモンドの産状 カラーダイヤモンド 蛍光ダイヤモンド

化学式:C

太陽光 紫外線
蛍光ダイヤモンド(太陽光) 蛍光ダイヤモンド(紫外線)
産地不詳

 蛍光ダイヤモンドは、紫外線を照射すると、暗闇でも光るダイヤモンドです。右上の写真は、太陽光の元で撮影しました。同じダイヤモンド(撮影方向が異なるために別のダイヤに見えますが、同じものです)を、紫外線で照らしながら暗闇で撮影したのが、右上の写真です。ぼんやりと、光っていることが分かります。紫外線などを照射されている時に光る性質を蛍光といいます。撮影には、ブラックライトから生じた紫外線を使用しました。この蛍光ダイヤモンドは、ダイヤモンド商から購入しました。産地は不明でしたが、興味深い標本なので入手しました。
 次に、蛍光が発生する原理を簡単に紹介しましょう。紫外線は可視光(目で見える光)よりも、エネルギーが高い光線(それ故、紫外線で日焼けをする)です。紫外線が照射されると、ダイヤモンドを構成している炭素原子の電子が紫外線のエネルギーを吸収し、その電子はエネルギーが高い状態になります。この電子のエネルギー状態は安定ではなく、元の状態(紫外線を吸収する前の状態)へ戻っていきます。そのとき、余分なエネルギーが可視光として放出されて、光るわけです。
 この蛍光ダイヤモンドのように紫外線で光るものは希ですが、紫外線よりもエネルギーが強いX線を照射すれば、全てのダイヤモンドが光ります。ダイヤモンド鉱山によっては、この性質を利用してダイヤモンドを選び出し作業を行っています(コラム参照)。

コラム「ダイヤモンドの選鉱作業」
 選鉱とは、鉱石の中から目的の鉱物を選び出す作業です。目で探すことも可能ですが、鉱石に含まれているダイヤモンドの存在確率は極めて低い(数千万分の一)ため、ダイヤモンドのユニークな特性を利用して、ダイヤモンドの選鉱は機械的に行われています。ダイヤモンドの選鉱方法を紹介しましょう。
 まず、鉱山内部で、ダイヤモンドを含んだ岩石は、約15 cm 程度の大きさに粉砕されて、地上の施設へ運ばれます。この岩石をさらに細かく粉砕するのですが、大型のダイヤモンド結晶が含まれていると、粉砕作業で割れてしまいます。そこで、まず、目で確認します。鉱山では、ボーナス制度を導入して、作業員のやる気を引き出しているそうです。鉱物標本として販売されている、ダイヤモンド入りのキンバーライトは、この段階で見つけられたものです。
 次に、細かく岩石を粉砕し、ダイヤモンドの様々な特性を利用して、機械的に選び出していきます。ダイヤモンドの比重(約3.6)が比較的大きいことを利用して、泥水の浮力によって比重の小さい鉱物を取り除きます。すると、ダイヤモンドと比重の大きい鉱物の混合物ができます。
 次に、水とグリースを使用して、ダイヤモンドを選び出します。ダイヤモンドには、水をはじくが、グリースには付着するという性質があり、これを利用します。グリースを塗ったベルトの上に、水で濡らしたダイヤモンドを含んだ混合物を載せると、水をはじくダイヤモンドがベルトに貼り付きます。この様にして、ダイヤモンドを機械的に集めることが出来ます。
 また、ダイヤモンドが蛍光を発することを利用して、ダイヤモンドと比重の大きい鉱物の混合物から、ダイヤモンドを選び出すことも行われています。混合物にX線を照射し、光ったものだけを空気銃で吹き飛ばすことによって、選び出しています。
 以上の作業を経ても、別の鉱物が含まれています。最終的には、人間の目で見て、手作業で取り除かれています。

ブラックライト


Copyright (C) 1996-2009 iStone. All Rights Reserved.|ホームサイトマップ