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薄層による光の干渉

レインボーガーネット レインボー水晶

  

アバロン アンモライト

 結晶内部に層構造を持つ鉱物は多く存在しますが、イリデッセンスを示すものは限られています。代表的な標本を掲載しました。これらの展示品が、なぜ、虹色に輝くのかを紹介しましょう。

レインボーガーネットの内部構造とイリデッセンス

「薄層によるイリデッセンス」
 層構造によってイリデッセンスを示す鉱物の特徴を、レインボーガーネットを取り上げて、説明します。上図は、イリデッセンスが生じる様子と、レインボーガーネットの結晶の断面を表したイラストです。まず、レインボーガーネットの結晶面がイリデッセンスを示す様子を紹介します。上図を見てください。仮に、光が方向(1)から入射して、方向(1)から赤色に輝い反射光が見えたとします。そして、結晶を動かし、光の入射方向を(2)に変えます。すると、反射光の進む方向も(2)に変化し、反射光の色彩も、例えば、緑色に変わります。色彩の変化は結晶を動かす角度に対応しており、光の入射方向を(1)と(2)の中間とすると、反射光の色彩も赤色と緑色の中間である黄色に変化します。この様なイリデッセンスを示す結晶をカボションカットすると、曲面をなす表面で光が屈折し、様々な色の光の干渉を、つまり、イリデッセンスを示す宝石となります。
 次に、レインボーガーネットによって光の干渉が生じる仕組みを紹介します。断面に注目してください。結晶内部には、化学組成の異なる部分が2つ(鉄が多い部分とアルミニウムが多い部分)存在し、上図の様に、同心状の組織(累帯構造)を形成しています。累帯構造を示す鉱物は多いのですが、虹色に輝くには、帯(今回は直線状の組織なので層)の厚さが重要です。レインボーガーネットの場合、層の厚さは0.5ミクロン程度に揃っており、可視光(目で見える光)が干渉するのに適しています。ここで、水に浮かぶ油の薄膜が虹色に輝くこと(参照:光の干渉現象)を思い出してください。油の表面で反射した光と、水の表面で反射した光が干渉しました。同様のことがレインボーガーネットでも起こっており、さらに、レインボーガーネットの場合、下図の様に多数の層による反射光が干渉するため、強力なイリデッセンスが発生します。

結晶内部の層構造による反射光と、その干渉現象
(注意:層はもっと多数存在します。)

 なお、レインボーガーネットの原石には、結晶が割れた断面や未完成な結晶面でイリデッセンスを示しているものがあり、人気となっています。不完全な部分に、干渉が発生する理由は、良く分かっていません。

「その他の鉱物のイリデッセンス」
 水晶にも虹色の輝くものがあり、レインボー水晶と呼ばれています。結晶を見てみると割れ目が入っており、この部分でイリデッセンスが生じています。割れ目を調べてみると、ほぼ同じ厚さに割れた薄層構造が存在しており、これがイリデッセンスが発生する原因と考えられています。なお、割れ目は自然によって造られました。透明な水晶をたたいて割れ目を生じさせても、イリデッセンスは発生しません。
 アバロン(アワビの殻)やアンモライト(アンモナイトの殻の化石の一種)の様に、生命起源の宝石にもイリデッセンスを示すものが存在します。これらの結晶にも、薄層による層構造が存在します。その様子を下図で表しました。レンガの壁のように、同じ大きさの霰石(アラレ石)の結晶が規則正しく積み重なっており、結晶同士のすき間はアワビが分泌した有機物(粘着液が固まったもの)です。霰石の結晶の境界部で反射された光が干渉を起こします。その際、表面が緩やかな曲面であるため、様々な色の光による干渉が生じ、イリデッセンスが発生します。

アバロンの層構造
(灰色部は霰石。黄色部は有機物。)

レインボー水晶 (原石) ● アンモライト (ジュエリー&原石)
アバロン (ピアス) ●スーパーレインボーガーネット(原石)


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