鉱物とは

「鉱物の定義」

 鉱物(こうぶつ)は天然で得られる均質な物質です。一般的には、次の3つの条件を満たすものとされています。

   (1) 化学組成が一定の化学式で表記できる
   (2) 結晶構造を持っている(構成する原子が規則正しくならんでいる)
   (3) 無機質(生物の関係しない自然過程によってできた物質)である

多くの鉱物がこれらの条件を満たしています。しかし、例外的な鉱物も存在しており、この様な鉱物に対しては、国際鉱物学連合(IMA)による説明が与えられています。水銀(Hg)は液体の元素です。水銀原子は規則正しくならんでおらず、結晶ではありません。しかし、天然に産する自然水銀は鉱物と認定されています。オパールも非結晶質ですが、鉱物の仲間です。
 鉱物の定義は絶対的なものではありません。最近は鉱物学者が研究対象とする領域が広がっており、上記の3条件を満たさない物質も研究対象となっています。琥珀は木の樹液が化石となったもので、無機質ではありません。よって、琥珀は鉱物ではありません。しかしながら、意見が異なる鉱物学者も存在し、琥珀を研究するグループが国際鉱物連合につくられています。水銀が鉱物ならば、水も鉱物と考えてもよいはずです。木星や土星などの衛星や彗星では、氷が主要な成分となっています。さらに定義を一般化して、ポーリング(ノーベル化学賞受賞)は、空気やヘリウムなどの気体も鉱物であると説いています。

「鉱物と岩石」
 鉱物と岩石の関係を整理してきましょう。先に説明したとおり、鉱物は原子が規則正しくならんだものです。鉱物が集まって、岩石を形成します。つまり、岩石とは鉱物が集まったものです。例えば、花崗岩という岩石は、石英長石雲母などが含まれています。花崗岩の透明な粒が石英、白い粒が長石、黒い粒が雲母です。石英はケイ素原子と酸素原子が規則正しくならんだ構造をしています。
 鉱物と原子、そして、岩石の関係を別のもので例えてみましょう。岩石を文章とすると、鉱物は単語であり、原子は文字となります。文字が規則に従って結びついて単語になり、単語が集まって、文章ができます。岩石を森とすると、鉱物は木や草であり、原子は葉や茎や根となります。

「鉱物の語源」
 鉱物(mineral)の語源はギリシャ語のmineralis{(minera)鉱山に関係したものの意}に由来します。鉱物という概念を導入したのは、スウェーデンの博物学者リンネです。リンネは自然界を動物、植物、鉱物の三界に分け、生物以外を鉱物と呼びました。Mineralを鉱物と訳したのは小藤文次郎(ことうぶんじろう)(1856-1935)です。小藤は津和野藩主の子として生まれ、1879年に東京大学を卒業し、ドイツ留学を経て、1885年に東大教授に就任。日本の地質学の指導的地位にあった人物です。

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