誕生石を身につける習慣が初めて広まったのは18世紀のポーランドです。移住してきたユダヤ人の宝石商が仕掛け人と言われており、これが商用の誕生石の起源だと考えられています。しかし、12種類の宝石を選定して特別に取り扱う風習は、もっと古くから存在していました。
最大のベストセラーである聖書(旧約聖書と新約聖書)には、石に関する記述が200カ所以上も登場します。そのうち、誕生石の起源と考えられているものが2つ存在します。旧約聖書の出エジプト記28,15-30で、ユダヤ教の高僧が着用した胸飾りが紹介されています。胸飾りには、12種類の宝石が3個ずつの4段の列をなして、縫いつけられているそうです。新約聖書のヨハネの黙示録21,18-21で、聖都エルサレムの城壁の様子が紹介されています。城壁には12の門があり、それぞれ異なる12種類の宝石で飾られていました。これらの12種類の宝石が誕生石の基となったという説が一般的です。
更に歴史をさかのぼってみましょう。紀元前6世紀頃、メソポタミア地方では、バベルの塔で有名なバビロニア帝国が栄えていました。バビロニア人は数学や天文学に長けていました。12星座を選び、占星術の基礎を築きました。そして、宝石と12星座を関連づけたと言われています。初めは多数の宝石が選定されていましたが、次第に数が絞られて行き、月に数個程度になったそうです。誕生石の起源はバビロニア帝国にあると言えるかもしれません。実際、1世紀のユダヤの歴史学者ヨセフスは、著書の中で、ユダヤ教の高僧の胸飾りで使用した12種の宝石は12星座と関係があると説明しています。
占星術でも星座の宝石というものが選定されています。下の表に掲載しました。みずがめ座、うお座、おひつじ座、そして、いて座の宝石は、誕生石と部分的に期間が重なっています。アメリカの宝石組合は、星座の宝石を参考にして、誕生石を選定したのかもしれません。ダイヤモンドは星座の宝石に含まれていませんが、誕生石には含まれています。アメリカの宝石組合が4月の誕生石にダイヤモンドを選んだのは、ダイヤモンドを普及させるためだと言われています。 |