ビランガ隕石

ダイオジェナイト
ビランガ隕石
Bilanga, Burkina Faso

1991年落下、価格(1グラム):¥4000

 ビランガ隕石は、1991年10月27日にブルキナ・ファソに落下し、35Kgほど回収されました。ダイオジェナイトと呼ばれているエイコンドライトの一種です。ブルキナ・ファソとは、アフリカ大陸の中央部にある国で、ガーナの北に隣接しています。サッカー日本代表のトルシエ元監督が、代表監督を務めていた国です。この標本に含まれている大きい結晶は輝石(マグネシウムに富む斜方輝石)です。
 ダイオジェナイトの大部分は粗粒の斜方輝石から構成されていることから、高圧下のマグマの中で生成した鉱物結晶が集積したところで、ダイオジェナイトは誕生したことになります。つまり、ある天体(母天体と呼ばれ、ダイオジェナイトの場合、小惑星ベスタと考えられている。ミルビリリー隕石参照)のマントルの欠片であると、考えられています。この母天体の地殻の欠片と考えられている隕石がユークライトであり、地殻とマントルが機械的に混ざり合った隕石がホワルダイトと考えられています。

コラム「隕石のふるさと」
 隕石が小惑星帯から飛んでくると考えられている根拠として、(1)隕石と小惑星の反射光特性(ホー・テミキ隕石参照)が似ていることと、(2)隕石の軌道が小惑星帯を横切る楕円軌道であったことが挙げられています。ここでは、隕石の軌道について紹介しましょう。
 隕石の大気圏外(宇宙空間)での軌道を正確に決めるには、隕石の落下の様子が複数の地点で記録されていることが必要です。今のところ、5個の隕石の軌道が論文で報告されています。下の図と表に、隕石の軌道とその他の情報をまとめました。全ての隕石の軌道が、火星と木星の間の空間、つまり、小惑星帯と交わっていることが分かります。

隕石と惑星の軌道

5つの隕石と惑星(木星、火星、地球、金星)の軌道
Pri.:プリブラム隕石、L.C.:ロスト・シティ隕石、Inn.:イニスフリー隕石
Peek.:ピークスキル隕石、Tag.:タギッシュレイク隕石
隕石名 落下日 種類 回収量(Kg)
プリブラム 1959年 4月 7日 普通コンドライト 9.5
ロスト・シティ 1970年 1月 3日 普通コンドライト 17
イニスフリー 1977年 2月 5日 普通コンドライト 5
ピークスキル 1992年10月 9日 普通コンドライト 12.4
タギッシュレイク 2000年 1月18日 炭素質コンドライト 5〜10

 初めて軌道が求められた隕石は、1959年にチェコの首都プラハの近くにあるプリブラムに落下した隕石です。流星観測中に偶然、カメラに捕らえられました。アメリカとカナダでは研究者によって、隕石の落下の観測が計画的に試みられ、2個の隕石(ロスト・シティとイニスフリー)の観測に成功しています。ロスト・シティ隕石は落下の軌道データから落下地点が計算され、その後、予測地点から回収されました。
 ピークスキル隕石はアメリカンフットボールの試合中に落下したため、大勢の観客が目撃し、14台のビデオカメラで落下の様子が撮影されています(ビデオ映像)。ピークスキル隕石は車のトランクに落下した隕石としても有名です。隕石の直撃を受けた車は新宿ショーでも展示されました。
 以上、4個の隕石の種類は普通コンドライトです。普通コンドライトは落下頻度が最も高い隕石であるので、自然なことだと思われます。しかし、2000年にカナダに落下したタギッシュレイク隕石は、学術的価値の高い炭素質コンドライトでした。しかも、新しい種類と考えられています。タギッシュレイク隕石の落下は、北米防空網を構築するために使用されている軍事衛星によって記録されていました。

太陽系シミュレーター
 CD-ROMが添えられたブルーバックス(講談社)です。パソコンを使って、太陽系内での2万年間の天体現象(日食や月食、流星雨など)を3D・CGによって、あらゆる地点、あらゆる角度から眺めることができます。


Copyright (C) 1996-2008 iStone. All Rights Reserved.|ホームサイトマップ